PPEのススメ
PPE別解説 -マスクの規格基準-
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マスクの規格基準
2021年6月16日に、医療用マスク、一般用マスク、感染対策医療用マスクに関する日本産業規格(JIS)が制定されました。JIS規格の制定により、一定の性能基準を満たしたマスクが製造・販売され、消費者や医療従事者の安心・安全の確保につながることが期待されます。
また、国際的にはASTMインターナショナルが医療用マスクの素材条件を定めており、日本においてもASTM規格に基づいた製品が多くあります。
サージカルマスクの規格
JIS T9001(医療用及び一般用マスクの性能要件及び試験方法)
微粒子や飛沫などの体内への侵入を防ぎ、空気中への飛散防止を目的とした医療用及び一般用マスクについての規格です。同じ規格内で、医療用と一般用は区別して規定されています。
医療用マスクについてはクラスⅠ、Ⅱ、Ⅲに分類し、必要な性能や試験方法、安全・衛生項目を規定しています。主に一般医療、介護などに従事する際に使用するマスクが対象です。
医療用マスクの品質基準(JIS T9001:2021)
| 項目 | 単位 | 品質基準 | 試験方法 (箇条番号) |
||
|---|---|---|---|---|---|
| クラスⅠ | クラスⅡ | クラスⅢ | |||
| 微小粒子捕集効率(PFE) | % | ≧95 | ≧98 | ≧98 | 5.1.1 |
| バクテリア飛まつ捕集効率(BFE) | % | ≧95 | ≧98 | ≧98 | 5.1.2 |
| ウイルス飛まつ捕集効率(VFE) | % | ≧95 | ≧98 | ≧98 | 5.1.3 |
| 圧力損失 | Pa/cm2 | <60 | <60 | <60 | 5.1.5 |
| 人工血液バリア性 | kPa | 10.6 | 16.0 | 21.3 | 5.1.6 |
| 可燃性 | ー | 区分1 | 区分1 | 区分1 | 5.1.7 |
| 遊離ホルムアルデヒド | ug/g | ≦75 | 5.2.1 | ||
| 特定アゾ色素(※1) | ug/g | ≦30(※2) | 5.2.2 | ||
| 蛍光(※3) | ー | 著しい蛍光を認めず | 5.2.3 | ||
注2) 生成された特定芳香族アミン24種それぞれが30ug/g以下でなければならない。
注3) マスクの呼吸に係る本体部(耳掛けゴムなどの付属品を除く。)だけに適用する。
JIS T9001:2021:医療用マスク及び一般用マスクの性能要件及び試験法
- 微小粒子捕集効率(%)【PFE】 空気中を浮遊する微小粒子を捕集する性能を示します。
- バクテリア飛まつ捕集効率(%)【BFE】 せき(咳)、くしゃみ、会話などの際に生じる飛まつのうち、バクテリアを含むエアロゾルを捕集する性能を示します。
- ウイルス飛まつ捕集効率(%)【VFE】 せき、くしゃみ、会話などの際に生じる飛まつのうち、ウイルスを含むエアロゾルを捕集する性能を示します。
- 圧力損失(Pa/cm2) マスクを通して一定流量で吸引したときのマスク表裏における圧力差を試験面積で除した値で示され、息のしやすさ(通気性)を示す指標値です。
- 人工血液バリア性(kPa) 手術などの医療従事中において、患者から飛散しマスクに付着した体液が、裏面まで浸透することを防ぐ性能を示します。
ASTM規格
医療用マスクの品質基準(ASTM F2100-20)
| 特性 | レベル1 | レベル2 | レベル3 |
|---|---|---|---|
| 細菌濾過率(%) | ≧95 | ≧98 | ≧98 |
| 微粒子濾過率(%) | ≧95 | ≧98 | ≧98 |
| 呼気抵抗(mmH2O/cm2) | <5.0 | <6.0 | <6.0 |
| 血液不浸透性(mmHg) | 80 | 120 | 160 |
| 延燃性 | Class1 | Class1 | Class1 |
- 細菌濾過率(%)【BFE】 細菌を含む、平均約3umの粒子が濾過された率を示します。
- 微粒子濾過率(%)【PFE】 平均約0.1umの微粒子が濾過された率を示します。
- 呼気抵抗(mmH2O/cm2)【⊿P】 呼吸のしやすさを示します。
- 血液不浸透性【FR】 液体(血液)が飛散した場合、どの程度の圧力にまで耐えうるかを示します。
- 延燃性 電気メスを使用する手術室などにおいて、炎の広がりにくさを示します。 クラス1~3まで3段階に分かれ、数値が小さいほど燃えにくいことを表します。
感染対策医療用マスク(N95マスク/N95レスピレータなど)の規格
JIS T9002(感染対策医療用マスクの性能要件及び試験方法)
主に医療施設において感染症に罹患している患者等に対し、手術、治療又は接近する医療従事者などが使用するマスクについて、タイプⅠ、Ⅱに分類し、性能要件とその試験方法、および安全・衛生項目を規定しています。
NIOSH(米国労働衛生研究所)
耐油性能と微粒子捕集効率によって9種類のクラスを設けており、N95マスクとは、「耐油性がない(Not resistant to oil)が0.3um以上の微粒子を95%以上濾過できる」という性能を示しています。
呼吸器防護規格(NIOSH)
| クラス | 捕集効率(%) | テスト粒子 | ||
|---|---|---|---|---|
| N | Not resistant to oil 耐油性なし |
N95 | 95 | エアロゾル化した 塩化ナトリウム |
| N99 | 99 | |||
| N100 | 99.97 | |||
| R | Resistant to oil 耐油性あり |
R95 | 95 | エアロゾル化した フタル酸ジオクチル |
| R99 | 99 | |||
| R100 | 99.97 | |||
| P | Oil Proof 防油性あり |
P95 | 95 | エアロゾル化した フタル酸ジオクチル |
| P99 | 99 | |||
| P100 | 99.97 | |||
医療現場では耐油性能は求められていないこと、N99やN100は呼気抵抗が高く日常の使用には向いていないことから、N95マスクが選択されています。
なお、日本においては厚生労働省が定めた国家検定規格DS2に適合したマスクは、米国規格のN95に相当するものとして、また、ヨーロッパが定めたEN規格に適合したマスク(FFP2)は、米国規格のN95、日本のDS2に相当するものとして取り扱われています。
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